2023年8月20日にはらメディカルクリニックさんで実施した「第一回当事者家族の会」での講演について、共同通信社から全国の新聞社に配信いただきました。
・毎日新聞:有料記事
・静岡新聞社:無料掲載
・新潟日報:有料記事
・佐賀新聞:有料記事
・神戸新聞:有料記事
・愛媛新聞:有料記事
・東奥新聞:有料記事
・北國新聞:有料記事
・デイリー東北:有料記事 など多数の新聞社に掲載されました。(※現在はリンク切れのため閲覧できません)
■記事全文
提供精子で出産、告知支援 絵本作家と医療機関コラボ 読み聞かせで幼少期から
第三者の提供精子を用いた人工授精(AID)を受けた夫婦が、生まれてくる子どもに事実を包み隠さず伝えられるよう支援する取り組みを、東京の不妊治療施設はらメディカルクリニックが始めた。鴨下桂子副院長が京都市在住の絵本作家よしだるみさんとコラボし、絵本「ねえ、しってる?」を制作。当事者夫婦が自分たちで考えた子どもへのメッセージも盛り込み完成させ、今秋から配布する。
第三者の提供精子を用いた人工授精(AID)を受けた夫婦が、生まれてくる子どもに事実を包み隠さず伝えられるよう支援する取り組みを、東京の不妊治療施設はらメディカルクリニックが始めた。鴨下桂子副院長が京都市在住の絵本作家よしだるみさんとコラボし、絵本「ねえ、しってる?」を制作。当事者夫婦が自分たちで考えた子どもへのメッセージも盛り込み完成させ、今秋から配布する。
読み聞かせを通じ幼少期から自然な形で告知できるようにする。鴨下副院長は「告知の重要性と向き合い、支援することもこの治療の一部。絵本作成の機会を通し、ご夫婦が一歩を踏み出す力になってほしい」と話す。8月20日、都内で開かれた絵本の作成会には41組の夫婦が参加した。同クリニックで治療を受けて出産したか、妊娠中の女性と夫が対象だ。
一般社団法人「AID当事者支援会」 代表理事の寺山竜生さん(50)が妻と共に登壇し、4歳の娘への告知体験を紹介。成長するにつれて繰り返し質問するようになったり、逆に話を聞くのを嫌がったりと、変化を経て娘が事実と向き合っていく様子を振り返り「子どもとの関係で、うそ偽りがあってはいけない。提供精子という事実をタブーにするのではなく、子どもを信用して話してあげて」と訴えた。
絵本は「ねえ、しってる? 〇〇ちゃんはパパとママのたからもの ねえ、しってる? わたしたちはどうやってであえたのか」という語りかけで始まる。パパが「いのちのたね」を持っていなかったため、病院で「しんせつなひと(ドナーさん)」から分けてもらって家族になるストーリー。実際の子どもの名前や、子どもへのメッセージを入れて製本し「各家庭だけの一冊」(鴨下副院長)となる。
作画を担当したよしださんは「家族の絆の根っこをつくるお手伝いができればうれしい」と話す。
作成会に参加した30代の夫婦は「生後6カ月の子どもがかわいいあまり『告知しなくても』と思ってしまうが、子どもの立場を第一に考える必要がある」「関係が変わってしまわないかと思うと勇気がいるが、自分たちも告知してみようと改めて思うことができた」と感想を口にした。
AIDは国内で70年以上の歴史があるが、生まれた子どもが望んでも精子提供者の氏名や住所といった情報が開示されることはない。出自を知る権利の観点から問題点が指摘され、超党派の議員連盟が昨年、開示ルールを盛り込んだ新法骨子案をまとめたが、法制化は実現していない。
提供精子を用いた人工授精(AID) 無精子症などのため子どもができない夫婦に、第三者から提供された精子を用いて人工授精を試みる医療。慶応大病院で1949年に最初の赤ちゃんが誕生、これまでに国内で1万人以上が生まれたとされる。日本産科婦人科学会の集計によると、2020年には12医療機関で計2010件実施された。提供者の氏名などの情報にアクセスする仕組みはないが、近年、この医療で生まれた人たちが「遺伝的ルーツを知りたい」と声を上げ、出自を知る権利の重要性が認知されるようになった。