国立大学法人群馬大学の教養教育・健康科学科目群の学生さん向けに、「知っておきたい男女の妊活とワーク・ライフ・バランス」という科目の出張授業を90分させていただきました。
今回の授業の対象学年は主に1年生で、対象学部は、医学部から情報学部、理工学部と群馬大学全学部の学生が対象の授業でしたので、212名以上の学生さんたちが集まってくださっていていました。
授業の中では、プレコンセプションケアをメインに、不妊の原因は男性にもあること、不妊の自分を許し受け入れる大切さ、不妊治療は夫婦2人で行うものであることなどについて、自身の無精子症が発覚してから、無精子を受け入れ、子どもを授かるまでのリアルなエピソードを踏まえてお話しました。
家族にはいろいろな形があり、私のようにドナーさんの助けを借りて子どもを授かる家族もあれば、子どもを願ってもかなわない人たち、養子縁組で子どもを迎える家族もあって、家族形成の在り方はいろいろあるけど、どれも正解なんだということをお伝えしました。
生き方の選択として「子どもを持つ人」もいれば、「子どもを持たない人」もいます。そのどちらの人生も尊重されるべきです。一方で「子どもを望んでいたにも関わらず、子どもが持てない」となることとは次元が異なります。
私のように子どもを授かろうと考えた時に「無精子症」(男性不妊)を初めて知るのではく、若いうちから、不妊の原因は男女ともにある。無精子症であっても子どもを授かることが出来ることを知り、自分やパートーなーが同じような立場になった時に自分ならどう考えるかを考え、学ぶ授業にしています。(下につづく↓受講された学生さんの声)
【講義を聞いた学生さんたちからの声】
■私は今回の講義を通して、自分の苦しい経験を共有してでも、私たちの教育のために講義してくださった寺山さんの生き様から、生きる力強さを強く感じ、自分と向き合うための大きな一歩を踏み出すきっかけになったように感じる。また、私自身も寺山さんのように強く生きたいと感じた。
■後ろを向いてなくしたもの、持っていないものの事ばかり考えて落ち込むのではなく、そのことを受け止めて前を向き直し、今手元に残っているもので自分には何ができるのかを考えることができれば自分でよりよい未来を切り開くことができるのだと考えました。
■話し方や声に熱がこもっていて、過去に本当に苦しんで悩んで、家族との絆が崩れそうになるほどの問題を抱えながらなんとかそれを超えて今を生きている方なのだということが痛いほど伝わってきた。
■本人にしかわからないつらい経験を理解するには90分という時間は短すぎる。しかし本人が今幸せな環境にあること、そのために意識、考え方、行動を変えてきたことはきちんと理解でき、非常に感動した。
■辛い経験をしてもそれがあるから今の自分がいる、辛かった部分も含めて自分だ、という考え方ができるのは人間として素晴らしい方だと感じた。講義を通して柔軟に自分の考えや行動を見つめ直せる人間になりたいと思った。
■「家族の形」についても、家族や親子に血縁は必須ではなく、子供に対する興味・愛情・思いやりがあることがいちばん大切だと仰っていて、子どもが幸せを運んでくるのではなく、夫婦で土台を作り、子どもが生まれてきてよかったと思える環境を作ることが1番なのだという話も踏まえ、家族のあり方について新たな気づきがあった。
■印象に残った言葉は「どんなことがあっても、血縁がないことを言い訳にしない」というものだ。正直なところ、人の考えは些細なきっかけで変化するから、一度決意を固めても、内容が内容なので、本心からそう思い続けることは難しいと思った。一方で生まれてきた子供は親を選べないし、もちろん親も簡単に子供を捨てることなどできない。寺山さんは今回の講演で、それを意識していることやその重要性を公言していて、尊敬した。
AID当事者支援会では、当事者への情報提供や医療機関との連携だけでなく、学生の皆さんに将来の自分の「ありたい姿」を実現するための家族の作り方、家庭の持ち方などを私たちの経験をお伝えしながら考えていただく「プレコンセプションケア」の授業をしています。
ご興味のある方は、「こちら」の問い合わせフォームからご連絡ください。
講義内容は、ご要望にあわせてアレンジさせていただきます。