共同通信社から全国各紙に配信いただきました。

共同通信 AID当事者支援会掲載

2023年2月26日に、共同通信社から全国の52社の新聞社に対して、AID当事者支援会・寺山竜生代表理事を紹介する記事が配信されました。
記事では、自身が無精子なった経験や、子どもを授かった時の思いなどの経験を活かして、当事者支援をしてる活動を紹介いただきました。

【記事全文】
◎悩み話せる場つくりたい 提供精子で誕生の娘4歳に
提供精子を用いる生殖補助医療で子どもを授かろうとする夫婦が、悩みを何でも話せる場をつくりたい。その一心で、一般社団法人AID当事者支援会代表理事の寺山竜生さん(50)は活動を続ける。無精子症と分かった時のショック、妻との話し合い、やっと授かった4歳の娘への思い。自身の経験も生かし、これから治療を始める人たちの力になりたいと願う。

夫の無精子症が判明した後、情報不足の中で孤立してしまう夫婦は少なくない。それを防ごうと、同会は定期的にセミナーを開いたり、交流サイト(SNS)で相談に乗ったりしてきた。寺山さんは、AIDによる家族形成を考える上で三つのステップが重要だと訴える。
「夫が無精子症の体を受け入れられているか。夫婦でしっかり話し合いができているか。そして、生まれてくる子どもに事実を伝えられるか」自身も、無精子症と分かった時は「人生が崩壊したように感じた」という。精子の提供を受けることにも強い抵抗を感じ、悩んだ。家にいると煮詰まるので妻とよく外出し、帰りの電車の中でお互いの思いを話したりした。気持ちの整理がつくのに2年ほどかかった。

国内で人工授精による治療を始めたものの結果が出ず、顕微授精のため台湾へ渡った。娘が誕生したのは2018年。1歳になったころから、告知用の絵本を使って提供精子のことを伝えている。「まだ十分には理解できないだろうけど、親にとっての練習だと思って。突然告知しようとしても、どう言っていいか分からないだろうから」

寺山さんと連携して活動する「すまいる親の会」事務局の清水清美・城西国際大教授は、治療を受ける夫婦の心境の変化を感じている。以前は告知なんて考えられないという人が多かったが、出自を知る権利の大切さが認識されるようになり、関心を持つ人が増えた。
支援会では、生まれてきた子ども同士の交流も進めていく予定だ。「親には言いにくい悩みもあるでしょうし。子どもに幸せになってもらうことが一番大事」。寺山さんはそう話を結んだ。